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J-REIT銘柄間の戦略の違いがおもしろい

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三井アウトレット

 投資家から集めたお金で複数の不動産に投資・運用することで収益を生み出し、それを投資家に配分するのがJ-REITです。J-REITと一言で言ってもさまざまな種類のものがありますが、それぞれが投資戦略が異なり、ハイリスク・ハイリターンのものからローリスク・ローリターンのものまであります。今回はたくさんあるJ-REITの銘柄の中からいくつかピックアップして、戦略ごとに比較してみましょう。各種数値は11月末時点で入手できる情報にもとづいています。

ホテル特化型VSヘルスケア施設型

 上場されているJ-REITには、ホテルや旅館などに特化したホテル特化型の銘柄が2銘柄、高齢者向け施設や医療施設に特化した銘柄が3銘柄あります。それぞれについて見てみましょう。

ホテル特化型

「ジャパン・ホテル・リート投資法人」
 100%ホテルに投資している銘柄の1つが「ジャパン・ホテル・リート投資法人」です。物件取得額合計は2131億円、物件数は38棟と規模は大きいです。11月末時点の分配金利回りは3.06%となっています。物件は全国のリゾート地に散らばっており、個々のテナントの規模が大きいことが特徴です。

「星野リゾート投資法人」
 同じく投資対象を100%ホテルに特化している星野リゾート投資法人は、物件取得額合計は426億円と銘柄の規模は小さいですが、物件数は39棟とほぼ変わりません。ジャパン・ホテル・リート投資法人と比べると、個々の物件の規模は小さいことが分かります。分配金利回りは3.38%です。

 ホテル特化型の2銘柄は投資対象の規模に違いはありますが、投資物件が全国のリゾート地に散らばっていることが共通しています。また有利子負債率を見ると、ジャパン・ホテル・リートは43.11%ですが、星野リゾート・リートは20.56%と低くなっています。

ヘルスケア施設特化型

「ヘルスケア&メディカル投資法人」
 ヘルスケア施設特化型を見てみましょう。まずヘルスケア&メディカル投資法人ですが、この銘柄は2015年3月に上場された新しいもので、高齢者施設と医療施設などに投資しています。取得額合計は237億円、保有物件数は16棟と規模は小さいです。物件は東京、大阪、名古屋、福岡に散らばっています。有利子負債率は48.8%、長期有利子負債率は100%となっています。

「日本ヘルスケア投資法人」
 もう1つの銘柄が日本ヘルスケア投資法人です。この銘柄も2014年11月に上場された比較的新しい銘柄です。物件取得額の合計は149億円、物件数は16棟とこちらも規模が小さいです。長期有利子負債率はこちらも100%と高くなっています。

 ヘルスケア特化型の戦略の特徴は、規模は小さいですが、今後の成長に期待ということでしょうか。またヘルスケア特化型という銘柄のタイプも新しく登場してきたものであるため、まだ運用実績が少なく、ホテル型に比べて評価しづらいかもしれません。しかし、高齢化が急速に進んでいる日本においては、今後ヘルスケア関連施設の需要は高まり続けるでしょう。そのような背景を考えれば、ヘルスケア特化型の銘柄も魅力的だと考えられます。

商業施設特化型VS物流施設特化型

 上場されているJ-REITの中で、商業施設に特化しているのは4銘柄、物流施設に特化しているのが3銘柄あります。その中からいくつかをピックアップして比較してみましょう。

商業施設特化型

「フロンティア不動産投資法人」
 投資対象の92.1%を商業関連施設としているのが、フロンティア不動産投資法人です。物件取得額の合計は2829億円、物件数は32棟と規模の大きな銘柄です。また個々のテナントの規模が大きいことが特徴です。物件は都市や地方の大型ショッピングモールなどが中心で、東京、大阪、福岡などの都市圏に散らばっています。個々の物件の規模は大きいですが、銘柄全体の比率としては、最大の「イオンモールナゴヤドーム前」でも8.77%と小さく、バランスのいいポートフォリオになっています。有利子負債率は28.69%とかなり低く健全です。

「ケネディクス商業リート投資法人」
 分配金利回りの高さで人気のケネディクス商業リート投資法人は、フロンティア不動産投資法人に比べれば、物件取得額合計が918億円、物件数19棟と小さいです。ポートフォリオの93.8%は商業施設で郊外型の商業施設中心に投資しています。投資エリアとしては、多くが東京と大阪となっています。2015年2月に上場した新しい銘柄であるため、運用実績は少ない銘柄です。

 商業施設特化型は規模の大きい銘柄は安定性が高く、規模の小さな銘柄はリスク・リターンが高いと考えられます。規模大きなフロンティア不動産投資法人はローリスクでの運用、規模の小さなケネディクス商業リートはハイリスクでの運用に向いていると言えるでしょう。

物流施設特化型

「GLP投資法人」
 物流施設特化型の銘柄の1つがGLP投資法人です。投資対象の100%が物流施設で、物件取得額の合計は3841億円、物件数は59棟とかなり大規模な銘柄です。分配金利回りは上場以来下落傾向にありましたが、2015年に入ってからは上昇に転じて、現在は3.90%と高めです。投資物件は全国に散らばっており、個々のテナントも規模は大きいですがポートフォリオに占める割合は低く、バランスがいいです。有利子負債率は49%です。

「日本プロロジスリート投資法人」
 物流施設特化型の銘柄の中でももっとも規模の大きなものが、日本プロロジスリート投資法人です。こちらも投資対象の100%が物流施設で、物件取得額の合計は4051億円、物件数は29棟となっています。有利子負債率は現在38.59%となっています。

 物流施設特化型はどちらの銘柄も規模が大きく、安定的な運用をしているという特徴があります。またどちらもポートフォリオにおける個々の物件の比率が小さくなっており、リスクが分散されている点から、ローリスクで安定的な運用をしたい人に向いていると言えます。

大規模オフィス物件投資型VS小規模物件総合投資型

 最後に大規模オフィス物件に厳選して投資している「日本ビルファンド投資法人」と、中小規模のオフィスビルや商業施設、住宅に総合的に投資している「トーセイ・リート投資法人」を比較してみましょう。

大規模オフィス特化型

「日本ビルファンド投資法人」
 この銘柄はJ-REIT全銘柄のうち最大の規模を誇る銘柄で、物件取得額は1兆803億円と非常に大きいです。しかし物件数は74棟と少なく、大規模オフィス物件に厳選して投資していることが分かります。分配金利回りは安定して推移していますが、現在は2.71%と低めになっています。最大の物件はNBF大崎ビルで取得額は667億円と大きいですが、投資比率はこれでも6.17%と非常に低いです。個々の投資比率がとても低く、個別物件のリスクは分散されていると評価できます。有利子負債率は41.96%となっています。トータルで見て、J-REITの中でも代表的な銘柄であることが分かります。

オフィス・商業施設・住宅など総合型

「トーセイ・リート投資法人」
 一方でトーセイ・リート投資法人の方はオフィスビルから住居、商業施設に分散して投資する戦略をとっており、物件取得額の合計は174億円と小さく、物件数も12棟と少ないです。投資エリアは東京23区とその周辺に集中しており、立地条件などに限定せず利回りの高い物件に投資する戦略です。個々の物件の投資比率が高いため、物件の入れ替わりなどの影響が利回りにも強く影響することが考えられます。ハイリスク・ハイリターンの銘柄と言えるでしょう。

 銘柄を選ぶときには各種の指標を基準にする方が多いと思いますが、このように指標だけでなく投資戦略も見てみるとおもしろいと思います。これ以外にも築浅物件に特化した銘柄と築古物件も投資対象に組み入れているものなどいろいろな比較の方法がありますので、ぜひ試してみてはいかがでしょう。

 


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